このあとがきは、執筆当時のものです

れる果実は
を孕めど
この身は朽ちゆ
さだめなり
あな口惜
哀し
永久(とわ)なるのは
ありもせず
春花
うつろふ果てに
夢を見る


*



 テーマは(恐れ多くも)「プラトニックな愛」です。書ききれなかった感がすごくあります…。余命いくばくもないヒロインと、彼女を見守り、慈しみ、ひたすら大切にする過保護な忍の話。佐助は、自分がヒロインに対して抱く感情をいまいち理解していません。いとしいという感情は持っているのに、わかってないのです。ヒロインは、大きくなるにつれて佐助との距離が広がっていくことに寂しさを感じています。そんなふたりがメインのお話です。…の割に途中で奥州筆頭が出てきたり、越後の忍がちょっと出てきたりしてますが。しかも佐助視点しかないという。幸村は空気ですし。(お前)
 イメージソングは、Sound Horizonの「美しきもの」と、レミオロメンの「3月9日」です。前者の場合、歌詞を考察するとだいぶ違ってくるので、あくまで大まかなイメージですが。後者は、このお話をぜんぶ書きおわった後のある日、偶然出会いました。こちらも、歌詞の通りと考えると齟齬が大きいので、ふんわり雰囲気ということで…。


 「美しきもの」を聴いていて、ふと考え付いたのがこの話でした。なんとかして「うつくしきもの」という単語を各話のタイトル中にいれたかったので、結果としてめちゃくちゃ長いタイトルになってしまいました。真のタイトルは「うつくしきもの」だということを、ラストでびっくりさせたかったんですが…察しの良い方は、すぐに気づいたかもしれませんね。(熟れるの「う」とか、蜜の「み」がひらがな表記な時点で)
 ちなみに第5話のある女の話で登場する「誰かさん」は、仏陀です。倫理で習って、なかなか深い内容だったのでこれはいいぞ、と。笑
 第8話は後日談。夢で過去を見ることってあるんでしょうか。よくわかりません(…)
 春が盛りの白い花、はその道に詳しくないので特に何の花であるかは決めていません。強いて言えば、「白椿(花言葉は申し分のない愛らしさ・理想の愛・至上の美・理想的な愛情・ひかえめな愛)」「白薔薇(素朴・純粋)」「白百合(純潔・威厳・無垢)」「茉莉花(おとなしく素直・心やさしい)」ですが、佐助は博識のイメージがあるので、その佐助が知らないということはやっぱり希少な花、または名もなき花なのだと思います。お好きなように想像してくださるとうれしいです。


 兎にも角にも、ここまで読んでくださってありがとうございました。こころからの感謝を申し上げます。 (2008/09/07)


*

果実は膿んで 蜜は満ちるのに
朽ちゆくこの躯が
呪わしくて 疎ましい
永遠など存在しないことくらい、知っている
時間が止まらないことも、分かっている
―それでも夢を、見ていたい